素直に試す

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マーケティング領域のスペシャリスト、コンサルタントとして、数々のクライアント企業を見てきて思う事は、総じて「伸びる人材」には一定の特徴があるということです。最も「分かりやすいもの」の1つに「素直に先ず、試してみる」と言う人材は本当に良く伸びます。

ただ、誤解無きようにお伝えしたいのは、これは「馬鹿正直で良いのです」と安直に言っている訳ではありません。先日、会食の席であるお客様に「継続頂いている理由」を真っすぐ言われ「なるほど」と思ったのですが、そういう人間の思考回路は「いや、とりあえずやってみたうえで、使えるなら使うし、全然だめなら、とっくに見限っていますよ」と言うものでした。

これはドライに見える一方ビジネス上では非常に合理的で「ダラダラと面従腹背」するよりも、よっぽど気持ち良い関係だと思います。

サービスを提供する私としても、結局は「芯を曲げず真っすぐにやってみて、ダメなら結果を受け入れる」方が、もちろん上手くいったときは改心の「手ごたえ(経験)」を得られますし、ダメでも(一見、ダイレクトに厳しい評価に見えるでしょうが)「まあ、しょうがない。反省・改善して次に行こう」とスパッと切り替えたほうが上手くいこうものです。

さて、提供側には上記のような心理が働いている一方、情報の受け手側の素養としても、この「素直に試す」と言うのは重要な要素だと思います。一見、関係ない事のようにみえても「とりあえずやってみて、使えるなら使うし、ダメなら見限る」ことは、時に大きな変革をもたらします。

先日、野鳥の撮影に行ったのですが、その際に初めて行ったことは「双眼鏡を持参する」ことでした。これは正直、望遠カメラを持っている自分としては、「カメラで探せば良いんじゃないの?」などと思っていたのですが、まあ、使ってみると確かにこれはもの凄く「楽」で、逆に「なんで今まで使ってこなかったんだろう」とか「もっと早く知りたかった」と思うものでした。

マーケティングとは突き詰めると「価値を提供する」ことにあるのですが、本当に「良い価値」というのはそれを享受した時に上記のような感想を持つものです。

また、多くの価値を知り、自分のものにするという事は=生活の豊かさに直結するものだとも思います。新しい価値が出てきた時、それに対して「本当に?」と思っても(思うのは良いんです)、まず素直に試し、そのうえで結果をフェアに評価する。

そんな「当たり前のように見えること」こそが、最も重要な「成長のファクター」と言えるのかもしれません。

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