存分に恥をかく

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私がマーケティングのコンサルティングにおいて常々、指導先にもお伝えし、私自身も実践し、確信している「事実」があります。

それは「行動こそが何よりもの成長を促す」というものです。

とかく、私のいるマーケティング業界では「知識量」が持てはやされがちで、「知識のあることこそ正義である」という論調がそこそこ見受けられるのですが、やはりこういう一眼レフのような写真を触ってみても思う事は「行動こそが正義である」と言う事です。

たとえば、毎日1時間のマーケティングの勉強を座学でするよりも、毎日1時間マーケティングを悩みながらでもやっていたほうが上達する……と言う事であり、これを一眼レフという趣味に置き換えれば「理屈ばかり学んでいないで、とにかく撮影しろ(あるいは、教科書ばかり読んでいないで、現場に足を運んで被写体の前で必死に構図を練り上げてみろ)という意図になる訳です。

やはり、こういった「別のこと」(特に誰もが想像できるような一般的な事象)に置き換えて考えたり、説明するほうが、万事理解が早く、そもそも「わかりやすい」と思うのですが、私がなぜ、始めたばかりの写真をSNSなどで堂々と公開し、しかも「一生懸命撮りました!」と宣言し、冷笑されようが何だろうがお構いなしに突っ込んでいるかと言えば、「それが一番成長が早い」と知っているからに他なりません。

行動して・公表して・存分に恥をかこう

私がもし、自らの得意領域(つまりマーケティングの世界だけ)だけで活動をしており、こういう事を言うと、「そんなのは成功したから上から言っているだけだ」と斜に構える人もいることでしょう。

だからこそ、今回の「一眼レフをはじめました!」は、私にとっても「非常に都合が良く」て、「おらー、恥かいておるぞ!」と明言できているのです(笑)まあ、なんで、そんなことを出来るかと言えば、

1)自分が何者でもないことを知っており、
2)他人は自分が思うほど自分に興味がないことも知っており、
3)人生は見栄を張るだけ損をすることも知っている

からに他なりません。

以下に、こちらは吉田兼好の『徒然草』より抜粋された部分を現代語に翻訳いたしますが、学びの「あるべき論」と言うのはこの時代にすでに確立されていたのだなと思います。

▼原文01
能をつかんとする人「よくせざらんほどは なまじひに 人に知られじ。うちうちよく習ひ得て さし出でたらんこそ いと心にくからめ」と常にいふめれど かくいふ人 一芸も習ひ得ることなし。

▼現代語訳01(GTPより)
「何かを上手くなりたいと願う人は、『まだまだ上手くないから人に知られたくない。こっそりとしっかり学んでから人前に出たい』とよく言うけれども、そう言う人は実際には何も学ぶことができていない。」

▼原文02
いまだ堅固かたほなるより 上手の中にまじりて 毀(そし)り笑はるるにも恥ぢず つれなく過ぎて嗜(たしな)む人、天性その骨(こつ)なけれども 道になづまず みだりにせずして 年を送れば 堪能(かんのう)の嗜まざるよりは つひに上手の位にいたり 徳たけ 人に許されて 双(ならび)なき名を得る事なり。

▼現代語訳02(GTPより)
「まだ完璧ではない段階から、上手な人たちと交流し、批判や笑われることを恥じずに、堂々と行動する人は、もともと才能がなくても、正しい方法で練習し、無駄なことをせずに時間を過ごせば、最終的には上手になり、他人から尊敬され、比べるもののない名声を得ることができる。」

▼原文03
天下(あめつち)のものの上手といへども、始めは、不堪(ふかん)の聞えもあり、無下の瑕瑾(かきん)もありき。されども、その人、道の掟正しく、これを重くして、放埒(ほうらつ)せざれば、世の博士(はかせ)にて、万人の師となる事、諸道変るべからず。

▼現代語訳03(GTPより)
「世間で上手とされる人々であっても、最初は未熟で欠点も多い。しかし、彼らが正しい方法で努力し、軽はずみな行動をせずにいれば、最終的には多くの人々の尊敬を集め、あらゆる分野で教師のようになることができる。これはどの分野においても同じである。」

私はすでに特定の分野でプロフェッショナルなわけですから、プロのカメラマンになろう!とは思っていません。

しかし、人生を彩ある、豊かなものにするためにも、たとえば、一生付き合えるような「一眼レフ」といった趣味に、ある程度傾倒していくことは、私は人生にとってプラスになりこそすれ、マイナスにはならないのではないか?とは思っています。

加えて、このような、私自身の思想・思考の話ができるようになったのは、まぎれもなく「写真」のおかげであり、お客様などとの関係値を構築する上でも、きっとプラスの作用をしてくれることでしょう。

むろん、このケースは、あくまでも「私の場合」となりますが、皆様におかれましても「理論より行動」を行い、自分の現実をはあくしながら、それでも精いっぱい頑張ると、本当の意味で「身につく」のだと思います。

たとえば、それはマーケティングにも言えることでしょう。

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