体験を最適化する

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本格的な、写真撮影を初めて100日あまり。撮影日数も増え、ある程度カメラと言うものについて慣れてきている私は、その慣れの弊害もあって日々の仕事の中で「カメラを持ち歩くこと」を少し大変だな……と思うタイミングが出てくるようになりました。まあ、これは当然予想されていた事で、結局、本格的にM11などを持ち歩こうとすれば、それ相応の重さや大きさがありますし、ビジネスバッグにヒョイと入れて気軽に持ち歩く……と言うようなわけにはいかない訳です。

しかし、だからと言って「カメラを全く持ち歩きません」と言うのも何だか嫌で、それだと結局「週末しか持ち歩かない」と言う風になる。これでは鍛錬が進まないので「さて、どうしたものか…」と悩んでいたところに今回出てきたのはLeitz Phone3のニュースでした。

ライカの監修したこのスマートフォンは疑似的にですが、ライカレンズを再現するような撮影を可能としており、「撮影体験」をするにはちょうど良いものでした。実際、発売されてすぐに手に取ってみての感想は「F値や、ボケを自分である程度狙って作れる」のと、「ズームではなくレンズを選んで撮影するモードが非常にライカの操作感に近い」こともあって、早速購入して撮影。

実際にLeitz Phone3で撮影された写真

その結果「あ、これなら気軽にご飯とかも撮れるかも」と、感動するに至ったので、生活様式を「M11を持ち歩く」から、「Leitz Phone(ライカ監修のスマホ)」に変える事で生活の様式を変容させようとしています。

そして、純粋にこの事について考察を進めてみようとすると、いくつかの「期待効果」が見えてきました。

1)ライカの基本理念で作られたスマホだから撮影体験としては近い
→構図を作ったり、明るさを調整したり撮影して行くという思考プロセスは何も変わっていない
2)本物のカメラを特別なタイミングに据える事で楽しみになる
→毎日持ち歩くデメリット「飽きる」を結果的に潰すことが出来る

重要なのは「撮影体験が変わらない」ことで、結局日々の鍛錬に必要なのは「思考を絶やさぬこと」ですから、これは週末に試合を控えて平日に練習するプロのスポーツ選手に似ていると感じます。まあ、言ってしまえばビジネス(や、マーケティング)のそれも同じで、ある程度「慣れ」が生じてくると良い意味でも悪い意味でも「力の抜きどころ」を覚えますが、その際に取捨選択すべきことは「根本的な体験には触れ続ける事」だというのが自分の理解です。

これはたとえば、ビジネスなどでも言える事で、同じ「マーケティングに携わっている」でも、マネジメントと現場の担当の時はずいぶんと感覚が変わるものですし、正直、マネジメントに行ってしばらく現場に通っていなければ「腕の鈍り」みたいなものは経験する瞬間があります。そういう時は基本的に「マーケティングに触れていない」のではなく「現場感覚に触れていない」事の方が問題であって、ですから、これを上記の話に戻すと「スマホで撮影できること」が大事なのではなく、「撮影プロセスが似通っており、シミュレーターでも疑似体験が続けられることが=撮影の鍛錬を止めずに済むことこそに価値を置くべきでしょう。

そうして、実際の重量や大きさからしても「胸ポケットに200gで収まる」となれば、これは1㎏近いカメラを持っていたときとは行動パターンも変わりますし、たとえば「ランチをパッと撮影する」みたいなこともできる訳です(そして、本気で撮影すべきものがあるならば、そのための時間をカメラを持って挑めばいいのです)。

話をまとめると、「今の自分にとって重要な要素」を特定して、それを「最適化」していくことは、一見非合理に見えることを効率化したり別のメリットをもたらしたりすることがあります。これらをもろもろ「試し」ながら、自分にとってのそのタイミングでの最適解を常に作っていくことは、「無理なく継続する」ための重要な要素だと思います。

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