いきなりですが、私はとても弱い人間で、子供のころから言い訳の余地があると、どうしても心のどこかで「逃げ込んでしまう」という側面を持っています。
環境については特に顕著で、たとえば学生時代からの趣味の一つであった将棋では、道場などに通っていた際、対局中は静かにしてほしいと常々思っていましたし、時間の中で礼儀正しく指してほしい。対局前後の挨拶もしてほしいと思うタイプの人間でした。
ですから、そういう(私の中の)常識が欠けている人と盤で向き合うと、私自身、気がどうしても気がそぞろになってしまい、対局どころでは無くなってしまっていたものでした。
また、子供が生まれる前は「釣り」も趣味の一つでしたが、この場合は特に道具やスポットでしょうか。やはり良い道具(特にロッド)や場所にはそれだけ有利さがあるわけで、魚を何度か釣り逃すと、腕より前に可能性を考え気分がモヤモヤしていたものです。
これらは、私という人間の弱さであり、性格でもあると思います。
ですから、大人になった私は、こういう性格を理解したうえで、それを「こんな自分が嫌だから矯正する」のではなく、「理解したうえで適切に対処する」道を選ぶことにしました。その方が、ストレスが少なく「言いわけ」の余白を消し込むことが出来ると思っているからです。
結論、今回のカメラの初期投資にはシッカリとお金をかけ、初心者なのに「良い道具」を使っています。
いっそ「全部自分のせい」に出来るほうが良い理由
実は、私は「言いわけがしにくい」と言うのはとても良い事だと思っています。
それはなぜでしょうか。
「良い道具」を使って、物事を始めたときのことを考えてみましょう。
特に、釣具やカメラのような「活動に直接的な成果が出る」ものの場合、入門用のカメラで技巧を尽くすより(そもそも初心者には技巧がありませんが)、極端な話をすればフラグシップレベルのカメラのオートモードの方が初心者の私を大きく助けてくれます。
我々が何かを始めたとき、まず、何よりも最初に欲しいものは、誰もが「成果」のはずです。
良い道具を使った、でも結果が出なかった。これならもう「無理」です。才能が無いのでしょう。でも、全力を尽くしたからこそ、諦めもつくというものです。世の中にはどうあがいても出来ないことがあるのです。「もし、もっといい道具を使っていたら…」とか悩んでいる時間がもったいないではないですか。
そんな私の意見を聞いて「ソレは道具に使われているだけだろう」と言われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、これは当サイトのブログの別の回にお話しした「恥をかいておけ」という事と同様の根っこを持っていると思っており、そんなことを気にするのも気にされるのは、実は大局的には「些細なこと」だと思います。
プロのカメラマンの中にも「初心者であろうが、カメラは最初からフラグシップを選ぶべきだ」という論調の人もおり、そういう方の話を聞いている(動画を視聴している)と、やはり私が感じていたような「道具に助けてもらって結構」という話をされています。
実際、私が仕事でマーケティングコンサルティングをしている際も、「伸びる企業の特徴」があるのですが、実はその特徴は、この「初心者でもフラグシップ理論」と密接にリンクしていると感じます。
要は、どれだけ初期に「小さな成功体験」を得られるか
その理由は、「小さな成功体験」という話に起因します。
この「小さな成功体験」理論については、別の回のコラムでも登場していますが、結論を申し上げると、人間は何かを始めたとき、なるべく早い段階で「これは上手くいった」というポイントを見つけると、そこを足掛かりに「物事を継続するモチベーション=自信」を構築することが出来る。だから早く成功体験を得たほうが良い……と言う私がクライアントを常々見て思う経験則です。
私はコンサルティングを行うときに、必ず「山本五十六(やまもといそろく)方式」をとるのですが、それは、「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ……」という風にフェーズを展開すると言う事です。つまり、最初は必ず「私が、やってみせる」事が重要であり、実際にそれで実績が出ると、お客様の目の色は確実に(これは、本当に行けるかもしれないぞ…!)と、「変わり」ます。お客様の眼の中から「疑念、懸念、雑念」が消えていくんですね。
この場合、私の存在自体そのものが、クライアント企業様から見て(僭越ながら)「フラグシップ機」の役割を果たしていると言うことになりますが、最終的にお客様が自身で成果を出されるのは当然として、その導入に最大限の助力を得る行為=「得意なもののチカラを借りること」は、最終的に、マーケティングの場合は企業の業績を向上させる、写真の場合は上達する…といったような目標を達成するための「手段でしかない」と整理できるはずで、そうなればこそ「講じるべき、当然の手段」となるわけです。
また、そういう「決断が出来る」というのは、えてして「覚悟」の総量の証明でもあります。
覚悟の大きさは、取り組みへの本気度、そして成果が上がるまでの速度に直接的にリンクします。これは、今までどのお客様を見ていても感じた「真理」です。それを知っているからこそ、私自身も何事にも妥協無く挑むのです。
無理をし過ぎない程度の「無理」。そういった覚悟への尊重を、忘れないようにしたいものです。