目的と手段を整理する

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今日は上野公園にデジタル一眼レフを持って、動物の撮影に行ってきました。

デジタル一眼レフを初めて持った12年前、私がどこかの観光地に行き、そのまま帰宅すると「ドッと疲れた」ものです。そこで写真を、必死に、たくさん撮り熱量を注いできたにもかかわらず、戻ってみれば何もしない。そして、そんなことが続いたある日、まるで夢から覚めたように「何をしていたのだろう…」と冷静に帰ったことが、12年前の私がデジタル一眼カメラを「辞めた」要因でもありました。

そういった過去を持つ私ですから、現在の様にハイペースで様々な被写体を前に写真を撮り続けることは、二の轍を踏むのではないか…?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、私の中では「まあ、そうはならないだろうな」と考えており、この辺りに起因するのが「目的」と「手段」の関係です。

実は、たとえば本日の私にとって「上野動物公園で動物の写真をすること」というのは、目的ではありません(12年前なら明確にそれが目的だったと断言できます)。今日の私の上野動物公園での目的は、

1)100-400mmのレンズの試し撮り
2)動物を主題とした構図と目線、背景を意識した写真の勉強
3)撮影を通じた思考プロセスなどの記事制作のための取材

あたりです。もっと言えば、この「取材」も「手段」になっており、それは「Marketer’s Brainの代表である私を、Rikimoffと言う「私人」として切り取り、写真や発信を通じて、人間性やマーケティングへの考察、情熱などのキャラクターを理解してもらう事で、公私ともに周囲との関係性を良好にし、あるいは「写真と言う趣味」の良さを伝え、あるいは交流を図ることで、読み手の人生を豊かにするため」

と、目的を達成するための「手段」と定義しているからこそ、明確な意思を持ってこの活動に取り組めるわけです。突き詰めてしまえば、これは「私が、私の(プライベート&ビジネスの)を充実させるため」にやっている「手段」であり、だからこそ真剣に取り組まれ、モチベーションを創造し続けられるのです。

この混同は、誰もが無意識的に行う

目的と手段の混同は、実は案外多くの人間が無意識的に行っており、時にそれは組織的に行われることもあります。過去、私がマーケティングの著書で書いたことなのですが、あるお客様が「自社のWebサイトを年間一千万ページビューにしたいのです」と依頼をしてきた際に、私が「何のためにですか?」と聞いた途端、お客様が返答できなくなった……と言う話があります。

商売における基本は、売上の向上であり、これが最も効率的に行われているとき(つまり、最小の引き合いで最大の受注が出せているとき)業務の効率は最大の成果に直結します。つまり、本来の目的は「受注」です。

ところが多くの企業は、たとえばマーケティング活動1つを切り取っても、ページビューが多いほうが良い、SEOの検索にはたくさんかかったほうが良い、資料請求は多いほうが良い、と声をそろえて言い、本来「手段」になるべきであるその部分を「目的」に設定します。実際、そういったKPIを抱える企業も本当に多いのです。

しかし、私に言わせれば、100件の資料請求で5件の受注が取れるよりも、5件の資料請求で、すべて受注するほうが「誰しもがハッピーになる」と思います。なぜって、営業の稼働工数も減りますし、生産性も明らかに向上するからです。

このように日常生活にあふれている「混同」に対し、正しい整理を行うのは、どのような局面でも有用に働きます。問うべきことはシンプルに「誰に、何のために?」と自問するだけです。構図を考えるのもそう、仕事の目的を整理するのもそう。そうやって最適化を進めれば、きっと「本来やるべきこと」と、それを推進するモチベーションが生まれてくるはずです。

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