季節を捉える

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マーケティング施策においてもそうですし、写真のような趣味を行っていても「なるほど、そうなるのか」と思ったことが出てきました。具体的にそれを言葉にすると「時間」に対する意識です。「いましかない、今日しかない、そういう瞬間を切り取る」と言うの非常に面白い事で、特にずっと続けていると「なあなあ」になりがちな、あるいは悪い意味で常態化しそうな心境に変化を与えてくれるのがいわゆる「季節性要因」です。

マーケティング領域において最もわかりやすいのは「学割」や「新生活訴求」などが該当します。これらはある業界においては特需のような成果を生み出しますが、その効果は永続的ではなく、時限的なものとなります。もっと端的に言えば日本なら、クリスマスのチキンや、バレンタインデーのチョコレートなどもこれに該当しますが、もう少し捻ったものであれば先に紹介したようなものとなるでしょう。プロモーション施策1つを考えても「常に使う王道の訴求軸」と言うのは必ずあるものですが、そればかりに依存していると、やはり頭打ちになっていく。

だからこそ、「その瞬間」だけ出来る施策のようなものも意識して、各種展開に織り交ぜる事で、複合的な、手厚い訴求が可能となり、施策はあらゆる方法で顧客に訴求されるようになるわけです。

写真というのもある種にたようなもので、「その時期にしか撮影できない被写体」とか「瞬間」と言うものがある訳でして、基本的には「特に季節性が強い」ものとしては、やはり「自然」やら「野鳥」やらがこれに該当することでしょう。これらの被写体を狙うだけで、平常時は中々取れないような写真が撮れますし、そのようなものを撮影して行く事は、常日頃からの活動にある種の「変化」を与えてくれます。

「季節を捉える」という表題を額面通り受け取ると、「四季折々の美しいものを特に意識する」事を考えがちですが、その実、たとえば雑踏の人々を撮影するだけでも、コートを着て歩いていたサラリーマンがスーツだけになるなど、実は「変化」と言うのはそこかしこで発生しています。面白いのは毎日が「同じように感じていた」人でも、このように「時間がもたらす変化」を意識した瞬間に、見える景色が変わる……と言う事です。

私は、それがマーケティングの施策であれ、写真撮影であれ、一定、「基本(王道)の型」が出来た後は、なるべくこの「季節を捉える」という事を意識することにしています。

というのも、これを撮り(取り)逃すと、次の機会は1年後になってしまうことも当然あり得る訳で、そう考えるとプロモーション施策における「学割訴求」なども、「だからこそアクセル全開で踏み込んで成果を最大化する=チャンスを捉える」と同時に「既存のクリエイティブを休ませて、学割需要が過ぎた時期に入れ替えることで、訴求の新鮮さを取り戻す」と言ったようなローテーションが可能になるからです。

写真にしたって、同様に、季節を切り取ればその部分に対する感性は養われるでしょうし、普段得意にしている被写体を時期を開けて戻っていく事で、それはそれでモチベーションの維持に有効に働くことでしょう。特に日本という国は、四季が明確な訳で、この長所を活かした活動をしていくことは、我々の活動により豊かさを与えてくれると考えています。

その時期だからこそできる事をする。というのは王道の上に成り立つとき、有効に機能します。「いましかないものを大切にする」という感性を養う意味でも、意識を「時間」に向けることは様々なメリットをもたらすことでしょう。

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