要素を分解する

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マーケティング施策を行う際に、上手くいっていない企業には同一の特徴があり、それがどのようなものかと言うと「施策を施策単位で評価する」という事です。たとえば、あるプロモーションを行う際に、何かの媒体に出稿したとして、その結果を「あの施策は良くなかった」と実に「大きな粒度」で評価をして、全体として「無し」としてしまうような行為の事を指します。

実際は、それを展開するにあたっても、たとえば対象や、訴求する内容、導線、各種チェックポイントの指標、時期、時間などなど、数えていくだけで大量の「要素」と言うものが存在し、実際はこれらが複合的に絡み合う中で施策と言うものは評価されて行きます。重要なのは1度のチャレンジで成果を出すことではなく(それはもちろん望ましい結果ですが)、その中の「どの要素が、どのように作用して結果になったのか」という要素分解を行う事です。

ちなみにこれは「施策をやった後に評価する」のではなく、「施策の設計段階でどの項目をどのように見ていくのかを事前に決める」事が重要であり、施策を行っているタイミング、ならびにその成果を見ているタイミングでは「結果を見るだけ」という状態になることがほとんどです。私のようなマーケティングコンサルタントに、たまに「数字やレポートを見てレビューをしてほしい」と言うものが来るのですが、たいていの場合レポートは報告者にとって不利益な部分は省略されていることがほとんどですし(嘆かわしい事実ですが)、意図のない施策の数字を読み込んでも、大きな示唆は無いことがほとんどです。なぜならそれは「設計」(段取り)の段階で7割がた決まってしまっているからです。

写真に置き換えてお話をすると少しわかりやすいかもしれません。たとえば「偶発的に良い写真を撮る」と言うのは誰にでもあり得る経験ですが、これを再現するために必要なことは「同じような構図、被写体などを模倣する」事ではなく、「なぜ、そうなったのかを要素分解する」方が適切なアプローチになる……と言う事です。

いうわゆる「良い写真」が、成立する条件は「被写体、構図、光と影(シャッタースピード、ISO、ホワイトバランス、F値)、色味などがありますが、「これをこうしたらこうなった」という要素分解が出来ていれば、写真は「模倣」を越えて再現にアプローチしていく事ができるようになります。「なぜ、そうなったのか?」とか「もっとよくするにはどうしたら良いのか?」という探求は、その経験を「糧」にすることができるようになるため、成長を促進します。

私のお客様には、弊社のメソッドを活用して施策を組んでもらったときは、かならず「数値予測」を指定のシートでしてもらっているのですが、これもその「糧」にする速度を向上させるためのアプローチです。人間、数値を予測しないで結果を見ると「まあ、こんなものだよね」と脳内変換をしてしまいがちなのですが、事前に予測し、カタチに残すことで「うわ、自分の予想はこんなにずれていた」と、実態との比較ができる。だからこそ、言い訳無しに「差」が(しかも細かい粒度で)わかりますし、その「気づき」こそが成長に直結する訳です。だからこそ、次の施策はもっと良い成果につながるのです。

このように要素分解と探求は、継続的に物事を続けるとき、長期的に見て大きな成果を生み出します。弊社のコンサルティングは実に長い付き合いのお客様が多いのですが、このような研鑽を繰り返し、次のフェーズにドンドンと進めることが、その理由の一つなのだろうなと思います。くれぐれも「結果に終わらない」、再現性を実現するためのアプローチを大事にしたいものです。

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