自分自身に問いかける

20

我々は普段の生活中で、多くのことを「あたりまえ」に行い、多くのことを「無意識的に」やりすごしています。マーケティングのコンサルティングを行っているときも良くお話しするのが「スーパーなどで、何となく選んだ商品は、実際はなんとなくではなく、そこに必ず「選ぶ理由」が存在します。ですから、「なぜ、それを選んだのか?」を自分自身に問いかけてみてください」と言うものです。

無意識的に「美味しいジュースが飲みたい」と思っていたら、気が付いたら「果汁100%」と、書いてあったものを手に取る。そこを深掘りしてみると「果汁100%だから、美味しいに違いない」という自分なりの「解釈」が入っており、それが問いかけの「答え」です。

マーケティング活動と言うのは基本的には、こういった「何でもないように見える瞬間」にフォーカスし、「それはなぜなのだ、どうしてそうなったのだ」と言うのを探求する事だと思います。その精度が高ければ高いほど、いわゆる「顧客心理」と言うものを的確にとらえ、成果の出せるマーケティング施策に転用できる素地となる訳です。

さて、この「思考プロセス」そのものは、実は趣味の領域などでも有効に活用することが出来ます。

いまは、本当に何でもすぐに相応のものが出てくる時代になりましたから、我々は意識しないと「考える」と言う事をしないようになってきました。「どこかに遊びに行こう、なにかをしよう、今日のお昼は〇〇を食べよう」と、思ったときに、もう一人の自分から問いかけてほしいのです。

「それは、なぜなんだい?」と。

「考える」ことは面倒だけど面白い

実は私自身、学生時代の留学先でこの質問を雨の様に浴びせられ、驚くほど答えられない自分に愕然とした事がありました。なぜ、そこに行きたいのか、どうして晩御飯を外で食べるのかなど、日常的な行動に対して「理由」を問われたとき、恐ろしいほど「あれ、なんでだろう?」と考え直すことになり、この家にステイし続けたことで、私の中では「考える」と言うのがだいぶ習慣化されたような気がします。

基本的に「考える」というのは、アタマを使いますから、まあまあしんどいものです。

しかし、使うには十分な価値を有しており、シッカリ考えて行動することは、さまざまな状況において、基本的には「優位」に働いていきます。

「なぜ、この写真を撮ったのか」
「何を、どう、表現しようと思ったのか」

たとえば、すべての写真でなくてもかまいません。自分がその日、気に入った1枚や、ボツになった写真を見ながら、そんなシンプルな問いかけを、自分自身にしてみると「ああ、自分はこういう被写体が好きなのかもしれない」とか「これ、写りがいいだけで何も意識がないからダメなんだろうなあ」など、自分なりに感想が見えてきます。

それがあればこそ「じゃあ、次はこうしよう」と、次の歩みにつながるのです。

この辺り、ビジネスをしていてもマーケティングをしていても同じ思考と改善サイクルを繰り返すのですが、「じゃあ、お前の写真はもう上級者なのか」と言えば「いやいや、そんなことはありませんよ」と言う一方、日々そこに向かって「近づいている実感」があるのは、おそらくこの辺りを日々、「考え、整理し、行動している」からでしょう。

やるだけにおわらず、見返して整理する。そんなことを、頭の中でやるだけでも意味があるものです。

ちょっとした夜の手すきの合間などに、自らの「作品」を眺めつつ、そんなゆったりとした優雅な時間をもって見ても良いのではないでしょうか。

関連記事