「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」
これは、初代ドイツ帝国宰相オットー・フォン・ビスマルクと言う人物の格言だそうですが、私が好きな格言の1つです。温故知新などという言葉が日本にはありますが、この2つをかけ合わせることで、歴史から学び、それを現状(未来)に活かす、というのは経験を得るプロセス(時間)を短縮する効果があり、これは、ビジネスでも写真と言う趣味でも有用です。
マーケティングであれば、過去の施策、上手くいっている王道の基本、実際のアウトプットなど。たとえば、長寿で使われている広告や、皆が知っているバナーなどは「成果が出ているからこそ、使われ続けている」と理解することが出来ます。逆に、バナーのデザイン案などがコロコロ変わるような企業は、その施策が「あまり効果が出ていないのだな」と、透けて見えてしまうのも、私の職業病なのですが、とにもかくにも「鉄板の手法」が確立されれば、それを一定使い続けるのは王道な訳で、我々は日々目にしているそういった成果物や文献を通じて、過去の歴史に学ぶことが出来ます。
それでは、撮影はどうでしょうか。
撮影の場合、一定の構図などは、様々なアウトプットに学ぶことが出来ます。一番わかりやすいのは「感動すると感じる写真を見る」ことでしょうか。もちろん、そこから「なぜ、私はコレを良いと思うのか」などといろいろと考えたり、感じるというプロセスが存在する訳ですが、基本的には最も解り易いアウトプットの形だと思います。
また、私が好きな手法の1つに「名画に学ぶ」というのもあります。構図の勉強をしていた際に、関連動画などで「絵画」について述べているものも多かったのですが、多くの名画では、その歴史的背景、意図、構図、技法などが、多くの方により解説されており、写真にそのまま生かせるものが多い事もまた、事実です。
視線の誘導、配色、構図など、写真は「事実から捉える」ため、必ずしも「すべてをそのまま適用できる」わけではありませんが、学ぶところは多く、普段景色を眺めている際のヒントにもなります。
美術館に足を運んで、実際の絵に触れるもよし、Youtubeなどの動画サイトを通じて、解説を見るもよし。
写真も絵画も「平面と言うキャンバスに描かれている(二次元である)」と言う意味では一緒ですから、共通点も多いのでしょう。1つの趣味が、他の芸術とリンクして、美術館に足を運ぶようになる……と言う話も面白いものですが、知識を身に着け、意識を変えることで、様々な「モノの捉え方」が変わっていきます。
実際、私自身も先日、ある美術展に足を運び、絵画を見ていたのですが、構図と実物、視線誘導の先に「主題」があるような絵画では「この作品のタイトルってこうかな?」と予測したところ、見事に大当たりし、ちょっと嬉しくなったことがありました。
それは、これまでは「何となくでしか見ていなかった」絵画の、作者の意図を理解することが(少しだけでも)できたからでしょう。
歴史を学ぶことは自らの経験だけに頼るよりも多くの事をもたらします。先人の知恵を活かし、意図を理解し、活用することで、自らの糧としたいものです。