主従関係を意識する

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マーケティングコンサルティングをしていて、ある商品について「どのような理由で売れると思うのか?」という中心の部分を発掘してると、ほぼ全てのクライアント企業様でその方向性がいくつかに分かれていきます。面白いことに、同じ会社に勤めていて、同じ部署に所属していても各人が思う「理想の売れる理由、刺さると思うキラーフレーズ」と言うものには個人差があり、ましてやこれが部署、部門を跨いだり、上司部下の視座の高さも考えると、無限に膨れていくことも珍しくありません。

企業が売り上げを伸ばすために必要なことは、これらの「目線」を正しく揃え、力をかけるべきベクトル(方向性)を一致させ、その一点に対して、あらゆるリソースを集中投下することです。これがなされる事によって力は最大限に引き出され、だからこそ成果が出る訳です。

理屈で考えてみると「確かに」と思われそうなことを弊社の「受注プロセス戦略」コンサルティングは徹底して行うように設計されている訳ですが、人間というのはどうしても「周囲の情報についつい耳を傾けてしまう」存在だからこそ、客観的な視点を維持し続けながら主体性を発揮するのは本当に難しいものです。

この話を一眼レフ(写真撮影)に置き換えるなら、それは間違いなく「SNSなどにおける他者の評価」がこれに該当することでしょう。これに触れているコラムはすでに何度か投稿していますが、写真というのは「「見る人の数だけ感想がある」ことをまったく持って否定できない趣味ですから「あなたにとっての正解が、誰かにとっての正解」とも限りませんし、裏を返せば「誰かにとっての正解は、あなたにとっての正解では必ずしもない」という事になります

しかし、ことSNSなどに写真を投稿すると、なまじ「いいね!」のような「数の指標」がつくものですから、多くの人はこれを気にして「もっと、いいねが欲しい」という(本質的には意味不明の)承認欲求を満たしにいくわけです。

承認欲求ですから「誰かに認めてほしい」のでしょうが、写真に対して最近の私が思うことは、写真とは撮影して作品にする事自体が「究極の自己顕示」だと思っており、まず、撮影の中に意図が存在することで、その作品は「自分が思う良いもの」となっているはずです。もちろん、だからこそ、それが他人に「いいね」されれば、それは嬉しいものです。

それでも忘れてはいけない「主体性」

ただ、ここでSNSの役割を勘違いし、「SNSでいい評価をもらうための写真を撮る」となると「主従が完全に逆転」するわけで、こうなると、究極的には「誰のための人生を生きているのか」がサッパリわからなくなります。そういう人の撮る写真は、いわゆる「金太郎飴」のように判で押したように同じ構図で、同じような「映え」になっていたり、ひどい時は写真というよりも「他人から評価を貰うためだけに構築されたゴテゴテの装飾絵画」みたいなものに変容していくことでしょう。

先にもお伝えしたとおり、この辺りの「価値の基準」は人それぞれですから、その趣味性については私は言及することではないのですが、ただ純粋に思うことは、特に本人のキャラクターなどを知っている時には「ありのままの自分って本当にそんなにゴテゴテでしたっけ?」と思いはします。

たとえば、「老いゆく自分」を正しく認識すれば、その「人生の深み」みたいなものは、私は、美しく輝かせる事ができると思っていますし、若くて勢いのある破天荒なキャラクターは、まさに若さの特権といえます。

個人的には、そういった「現在の自分にとって無理のないもの」を表現していくことこそが、「自然体である」と考えますから、私の実力値的にも、現時点においては「まず、ここを追求する」と言うのが最もシンプルな成長のアプローチだと考えています。

ビジネスにせよ、趣味にせよ「無理をしている自分」というのは、知らず知らずのうちに「本来の自分像」というものをなくしていき、その人が持っている色をどんどんと見えなくしていきます。

「ありのままを見せていくこと」に恐怖を感じる人がいることも事実ですが、写真とはそういう意味で「魅せたい部分を切り取る事ができる」訳ですから、自分の中の「表現をしたい部分」を出していければ、(そして、それが認められた時こそ)本当に、清々しい気分になりますし、誰に認められる事がなくても、その成果物(写真)は、自分にとって自己を客観視できる最高の素材となります。

撮影した写真の雰囲気を眺めながら、自己認識を新たにする。そんな風に楽しめるのも写真の魅力だと思います。写真には被写体が写っているだけではなく「自分の見えている世界感」も表れている……と言う事なのでしょう。

それをみて「うん、良く撮れている」と自分が思えたとしたら、それこそが何よりの報酬なのでは無いでしょうか。私は、そう思いながら日々、撮影を続けています。

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