秋田竿燈祭りに出て撮影を行ってきました。イベントが盛り上がる中、観覧席で最初に選択していたのは「広角」のレンズ。竿燈がかなり大きなものになることは想像がついていたので「下から煽って全体を収める」という写真を撮るためには、このレンズしかないだろうと狙ってのことです。その後、望遠に切り替えて遠目のものを狙ったりする訳ですが、ここら辺は全体的に「視座と視野」についての変更が多かったと思います。
その後、意を決してホテルへ。ホテルの部屋が偶然にもベストロケーションだったことを知っていたからです。部屋に移動してその窓から(なんと開けられるタイプだったので)祭りの全体像や、望遠で捉えた写真の撮影に移行しました。この辺り、個人的にはかなり「頭脳プレイ」が出来たんじゃないかなと思います。というのも、これ「視野・視座・視点」というビジネスやマーケティングでもよく使われる考え方です。
通常、この手のイベントを「普通に」楽しむならば観覧席から固定で楽しめば臨場感は間違い無いでしょう。「みんなが見ている視点」というのは必ず抑えるべきですし、その中で「レンズを工夫する」というのは視野を変えているわけで、いわゆるここが「現場」に該当する訳です。これは、外から見ているだけではわからない「臨場感と具体性」がハッキリとあります。祭りで言えばそれは「熱気」だと思います。
一方、ホテルの部屋に戻ってから俯瞰で捉えている「祭りの景色」は「視座と視点」が明確に違います。もっと客観的に、抽象的に全体像を捉えている、と言えば良いでしょうか。この視点でしか撮れない景色も確実に存在し、それは「現場」とは全く違う世界が見えているものです。
これ、私が思うに「ビジネスの場」でも同じことが言えるわけで、経営者の視点っておそらくこの「俯瞰図」なんですよね。マーケティングの指揮を取る人の感覚もこうです。でも、それだと具体性に欠けるから「現場の熱狂」とか「温度感」というのはイマイチ掴みかねてしまう。
重要なのは、現場にいても冷静に、俯瞰するマインドセットを持ちつつ、抽象的に全体を捉えても、現場の熱狂を忘れないこと。というバランス感覚を持つことなのでしょうか。まあ、祭りなら「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ…」みたいなのは確実に存在するわけですから、シンプルに「現場にいりゃ良い」わけですが(笑) 一応、これ仕事として考察しながら学習、実働するとなると、「この辺りの感覚があるからコンサルやっているんだろうなあ」と思った夜でした。
俯瞰にいると、熱狂に飛び込むのは大変ですし、現場にいると視座を上げるというのはいかにも難しいもの…なのですが、このあたり、上手に活用することで「選択の幅」は確実に広がります。当然、結果(今回の場合は撮れ高)も大きく変わるため、今後も大事にしていきたい素養だと改めて思いました。