構造を抑える

30

たまに世の中を見ていると、まさに「奇をてらったような」マーケティングの露出や戦略を目にする事があります。一見してそれは確かに新しい着眼点だったりするのですが、数年後には淘汰されている…あるはいつの間にか忘れ去られて消えている…と言う事も珍しくありません。

一方、手前味噌ですが、たとえばマーケティングコンサルティング企業のMarketer’s Brainが掲げた「受注プロセス戦略」は創業5年でありながら圧倒的な飛躍と成果をあげています。具体的に少しだけ解説をすると、弊社ではマーケティングを「営業を起点」とし、逆引きし、

「すべての施策は、受注のために存在する」

という一見して従来のマーケティングとは真逆のアプローチを行いながら(「ひとり企業」ながら)多くのプライム上場企業の実例を並べるほどになりました。

また、本サイトMarketersLensは、「学ばないマーケティングの実現」を表題に、主に実戦的な経験とマーケティング基礎から出てくる洞察の融合……と言うテーマでブログを執筆しており、これもまた一見して無茶苦茶ですが、実際の原稿を読んで頂くと「なるほど。確かに体験とつながっている」と思って頂けると思います。

しかし、実は、これらの一見過去に類例を見ない「突拍子もなく見える」取り組みは、どうやって作るものなのでしょうか? 今回は「構造」にフォーカスしてお話しを展開していこうと思います。

すべての施策に「芯」を持とう

さて、いきなり回答から入ってしまうとこれこそが「基本にして王道」と言う事実です。結局、すべての商売には「受注」の概念がありますし、すべての技術体得は「経験」から成されていることを否定できる人間は存在しないでしょう。

そういう「本質」が見えてくると、そこを「柱」にして物事を考えることができるようになる。

そもそも、世の中にあるすべての商品・サービスと言うものは「世の中のCan’tをCanにするため」だけに存在しています。お腹が空いているからご飯を食べますし、家にいてもリフレッシュ出来ないから旅行に行く。我々は、そういう「Can」の対価として金銭を支払っており、この「基本概念」が理解できると、世の中のビジネスの仕組みの「基礎」が見えてきます。

そして、いわゆる戦略の策定と言うものはこういった「基礎(WHAT)」を、「誰に(WHO)、どのように(HOW)」展開するのか?を意識することで、成果となります。

たとえば、写真撮影にしたってそうです。私の写真をAIに読み解かせると、「着眼点が個性的で際立っている」という評価を頂けるケースが多いのですが、その実「構図、光、色の加減」などは「基本に忠実に理解して最適なものを活用している」という評価も同時に頂きます。

つまり、ぜんぶ「個性」で埋めるのではなく、あくまでも「基本原則を活用しながら、その制限の中で個性を発揮する」というバランスを取っており、だからこそ「作品」が成立している……と言う事です。

マーケティング施策にしても、あくまでも基本思想、設計は基本であるが、そこにその企業ならではの独自色が入っているものは、模倣が早々容易ではありません。つまり、これらに共通することは「型破り」ではあっても「形無し」では無い問う事です。

基本を抑え、「構造を捉える」と言うのは、単純な知識を学んだり、特定のユースケースに触れるだけでは身につきにくいものです。あくまでも自身の体験を通じて「なるほど、こういう事か」と無意識のレベルで理解する。表層的な知識だけで物事を覚える人間は、イレギュラーのケースに極端に弱さを露呈しますし、その実、ビジネスは「イレギュラーだらけ」です。

「理解をもう一歩踏み込む」のコラムではこのあたり、指標のレベルでお話しをしましたが、実は戦略設計のレベルでも同様の思想は有効に機能します。物事に対して「なぜ、そうなっているのか」という意識を持つことがこの理解への第一歩ですから、いつまでも好奇心を忘れずに、堂々と踏み込んでいきたいものです。

関連記事