マーケティングコンサルタントして支援を行っている際、多くのクライアント企業様において「ごっちゃになっていることが多い」ミスとして「時間の分別における認識」と言うものがあります。要は、本来はすべての施策において「短期・中期・長期」と大別されることが本質であるのに対して、企業はどうしても(上場していると特に)「短期」の成果を重要視するため、長期的な取り組みについて洞察し、改善する……と言うことが苦手になる。と言うものです。
弊社を例に挙げれば、創業5年で、数多くのプライム上場企業の実例を並べ、その成果を公表し、メディア掲載、著書の出版など多くの事を成してきましたが、これら1つ1つは「大きなブランド戦略」という中に組み込まれている1つのパーツでしかありません。
書籍出版、メディア露出などは、「それ単体」では大きな意味を持たず、すべての要素が絡み合って「長期」で見るからこそ、その成果が最大化する=「株式会社Marketer’s Brainという組織のブランドが構築されている」という事です。
ところが多くの人は「成功しているその瞬間」だけを目の当たりにするため、「今日努力することで、明日何かが変わる」と思い込みます。これは典型的な「短期思想」への落とし込みであって、その考察そのものは間違いがない(今日努力すれば、確かに明日から変わり始めます)としても、その速度は、その方が想像するほどは短いものにはならないのです。
たとえば、あなたが明日の朝「起きてみたらアラブの大富豪になっていた」という事が起きないように、未来と言うのは基本的に現在の行為の延長線上にだけ発生するものです。ですから、マーケティング施策にせよ、ビジネス戦略にせよ、短期・中期・長期で、それらを分けて考えることで、成果は最大化を狙う事が出来るようになります。
長期の事を考えながら、短期の目標を達成する
では、それは、どのように「成されるもの」なのでしょうか? それこそが「短期に寄与することを行いながら、長期の目標を達成するためのアクションを行う……」という事です。私はマーケティング領域ではこれを「狩猟をしながら農耕をする」という表現をしているのですが、明日の食い扶持を稼ぐために「狩りに出かけ」つつも、来年の春を考えて「畑を多がして種をまく」という行為を行う。
それはもちろん、最初は「2倍動かなければいけない」と言う事ですから、決して楽な作業ではないにせよ、それこそまさに「生みの苦しみ」という奴でしかなく、そこをシッカリ乗り越えればこそ、徐々に「農耕側でシッカリと手厚い成果」が出てくるようになるのです。その段で「狩猟をどうしていくのか?」は並行して調整すれば良いのです。
それが「しくみ」が成されている世界の概要です。
ただし、ここに書いてある事例もそうであるように「今日蒔いた種」と言うのは「来春でないと実を付けない」事もまた事実なんですね。
この辺りを「狩猟も農耕も一緒だろう」と考え、短期思考に陥ると、成果が出る前に物事が頓挫してしまう。写真にしても「長期的なビジョンを持って今日の撮影に取り組む」という思想でいるのと「今日を頑張って毎日撮影に明け暮れる」では、おそらく辿り着く場所も、辿り着く速度も、長期的には大きな違いが生まれる事でしょう。
「時間」と言うのは、年代、貧富、人種、性別を問わず、唯一「どんな人間にも等しく与えられたリソース」です。
これを「どのように上手に活用するのか?」を正しく理解することは、人生を豊かにする大きなヒントとなることでしょう。ビジネスにせよ、写真(趣味)の活動にせよ、時間に関する「分別の感覚」を正しく持つことで、人生そのものの展望を拓いていきたいものです。