仮説を立てる

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マーケティング施策における「データの重要性」は、「仮説設計の能力」によって大きく左右されます。仮説があることでデータは意味を持ち、仮説が無い状態で送られてくるレポートが読み解けないのは、シンプルに「元の指標が存在しないため」です。何事を行うにせよ「仮説(指標)」を立てることが、データに意味を持たせ、理解も向上させる。つまり、データとは収集(設計)段階で、結果の確度を「ある程度確定させてしまう」と言うのが、ことの本質なのです。

少し難解なお話しでしたから、これを一眼レフ(写真撮影)の実際に置き換えて考えてみましょう。今回、外気温2度と予報された朝、私は東京の中心である壁面に写った街路樹に「冬」を感じました。手袋が欲しくなるような風の冷たい街道沿いで、カメラを捉え写真を撮る。この時、私が写真の中に収めたいのは「2月の都市部にある肌寒さ」でした。これを、「寒い」という言葉を使わずに表現したい。そう、思ったのです。

最終的に「2月のシルエット」と名付けることになるこの作品については、かなり難解な部分が多かったです。と言うのも、背後にある工事現場の白いシルエットに写り込む「影」と、白い壁面に当たる寒い感じの日の光、そして街路樹そのものを照らす太陽光には、それぞれ色があり、このバランスが非常に難しいのです。

特にレタッチの場面においては「うーん、なるほど……」と唸るところばかりでした。壁面に写る、街路樹の「影(シルエット)」を強調しようと黒みを入れると、街路樹そのものが暗く影を落とし立体感がなくなる。街路樹の光を表現し、乾いた樹木の肌を強調しようとすると、太陽光が強くなり、壁面の輝きが大きくなる。そうなると今度は「太陽に照らされた壁」が、なんとまあ暖かそうに見えてくるのです。

「寒さ」という「丁度いい真ん中」に折り合いをつけるためには、この「あちらを立てれば、こちらが立たない」と言う状況を奇麗にまとめる必要がありました。私なりに未熟ながらどうにか折り合いを付けたのが下記の1枚になるわけなのですが、このように、今回のケースの場合では「寒さ」を、白さで出すのか、陰影で出すのか、樹木で出すのか、壁面で出すのか、などはすべて要点をフォーカスして、色彩の基準をそれぞれに設けたことで理解出来たものであり、漫然と「寒い感じに青くしましょう」みたいなことでは断じてない訳です。もし、私が、そもそも「寒い印象を出す」と言う目的さえ、持っていなければさらにこの写真は「何となく壁面と樹木を写しただけのもの」になり果てるでしょう。

つまり、そこに「目的と仮説」が存在するから、意志が存在し、その意思によってあらゆる色彩の表現が「手段」に落とし込まれて行く。これは、「データを見る・触る」と言う意味では数字と画像と言う違いはあれども(色彩もRGB/CMYKなど数字で表現できますから)やっていることの趣旨は一緒です。

目的があるから検証が進み、反省と改善が生まれます。

仮説を立てる意味を理解し、アウトプットに対して深い洞察が出来るよう習慣化していきたいものです。

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