さて、今日の話は、写真愛好家が集まるレタッチの勉強をしに行った際に、講師の先生や参加者のみなさまの属性を見ている中で「そうか。確かにそうだよな」と学んだ事についてのお話しをさせて頂きます。
みなさまは「写真愛好家」や「写真撮影を趣味にしている人」というと、どのような人を思い浮かべるでしょうか?
Youtubeなどでは若手の存在も目立ちますが、旅程を組んだツアーや、お金を払って参加するような本格的な講習は、どちらかというと時間やお金にゆとりのある層が集まってきそうな印象もあります。今回、私は某ツアーで参加したのですが、正直、参加者の方々の年齢層は、私が想像していたよりも高かったです(下手したら自分が同性では余裕の最年少とかもあり得るレベル)。
そんな皆さんがレタッチを学ぶのですが、実際講習が始まる際にノートパソコンを取り出したのは、私一人で、基本は皆様は投影されたスライドをメモしたり真剣に聞き入っているのが印象的でした。と、同時に私は少し不思議だったんですね。
なぜ、パソコンを使ったレタッチを教わるのにPCを持ち込まないのか?という基本的なことにです。
そして、そのあと講師の先生がおっしゃったことに「ああ、なるほど。確かに!」と思ったのですが、要約すると「カメラを趣味にして、レタッチをするのはお金も勉強もしないといけない。撮影の知識の他に、レタッチの知識もまなぶのだが、そのためにはパソコンにも詳しくないといけないからだ」と仰っていたのです。
そう、私にとってPCの操作とは、ずっと仕事にしてきた「日常茶飯事のあたりまえ」だったのが、高齢の方々にとってはともすれば、これは重労働になりえることだった……と言う事なんですね。
思えば確かにそうだった
実は、私はコレに近い経験をマーケティングをしている際に体験したことがあって、それがある健康食品のお客様が、ECサイトを立ち上げたときに、売上を伸ばした効率的な施策の1つが「FAX用紙を用意する」と言うものだったという笑い話のような話です。
「カートに入れて決済すればいいだけなのに、なぜ!?」
と思う人もいらっしゃるかもしれませんが、それが我々現役世代の「盲点」という奴でして、実は特に10年くらいまえの高齢者にとって「Webサイトにクレジットカードの情報を入力する」なんてものは狂気の沙汰でしかなかったんですね。だから、そこにカートがあろうとも、わざわざPDFのFAX用紙をプリントアウトして、FAXで注文する…というようなことをしていたのです。
こういう常識は、当事者の歴史や背景を知らないと、当然知りえることは出来ません。
私は別のコラムで「一次情報に触れることの重要性」も書きましたが、このように「現場に足を運ぶ」と言う事は、ときとして、思いもよらないような収穫を得ることになるのです。
だから、スグに「レタッチを本気でやることに」した理由
さて、ココからは若干余談となりますが、私は先生のこのセリフを聞いた瞬間に「今日出てくるソフトを全部購入して全部使いこなそう」と言う事を心に決めていました。なぜなら、私はPC操作に障壁も無ければ、仕事でWindowsもMacも使っているので、スペック的にも問題ないマシンを持っている。
つまり、これだけで多くの写真愛好家(特に年齢層の高い方)よりは、強力なアドバンテージを手にすることになるからです。
写真の趣味の良いところは、「基本的に競わないところ」ではあるものの、写真の「良さ」と言うものは、やはり世に出るものですから評価の対象にはなります。と、なれば面倒くさがっている場合ではないのです。なにせ、これは私にとっては(業界平均値と比較した時に)「強み」となるからです。
「強み」にフォーカスするのは戦略の基本
上達の最短速度の1つは、「自分の持っている強み・資産」を最大限に生かすことだと私は思っています。
たとえば、野球などでも「ホームランバッターになるような体格を生まれながらに持っている人」は長打力を伸ばせば良いし、「体は小さいけれど俊足な人」は足で勝負するという道があるはずです。サッカーでも身長の高い人はポストプレイが合うでしょうし、小柄で俊敏ならドリブラーになるという手もあるでしょう。
このように「生まれ持った素養」で戦略が決まることもあれば、今回のような「常識の差」に対してフォーカスすることで、練度が磨かれるケースもあります。それに適応したり、対応したり、その前提だからこそ成立するような戦術への落とし込みを行ったり……。
「彼を知り己を知れば百戦危うからず」と言いますが、たとえば、マーケティングで良く語られる「お客様目線」の本質も、こういうところにあります。座学では分からない「常識の差」を知ることで、自分の強みを改めて客観視する。そのためにも、現場に足を運ぶことは、やはり重要であると、改めて認識させて頂きました。