広くスタンスを取る

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私が昔からキャリア論を語っていたときに、使っていた理論で「北に行く理論」と言うものがあります。これは、マーケティングにも転用が利くものなので、マーケティング領域の戦略~戦術展開などでも良く使っている手法です。

具体的にどのようにするのかと言うと、要は「挫折をしないための思考設計と目標設定」を行うと言う事です。端的に、私の過去の経験則から話せば、それは「小説家になりたい」と学生時代に思ったことが、この理論が生まれたきっかけとなりました。

まあ、当たり前なのですが「小説家になる」と言うのは、方角で言えば「北緯〇度、東経〇度に行く」くらい具体的過ぎて「そのピンポイントの座標が取れない=失敗・挫折」となるわけですが、これはオリンピックで金メダルを取るぐらい至難の業になるはずです。

で、あればそれを回避する手段として妥当なのはつまり、「北に行こう。南にいはいかないようにしよう」くらい、漠然とした目標設定をすることにあります。

これは、マーケティング戦略設計の場面にも有効な考え方です。

座学で入ったり特定の事例に傾倒する人は「まったくもって完全なるコピーでないといけない!」と思いがちなのですが、その実そんなことがある訳はなく、ヒト、モノ、カネ、もっと言えば文化やタイミングも違う条件での「テンプレート戦略なんてものは、カスタマイズなしには有効に機能しません」。

ですから、こういうときも「北に行く、南にはいかない」くらいの目標設定の方が、失敗する確率は大きく下がるわけです。

続けていると、方向性が見えてくる

こういう風に「漠然と出良いから北に歩く。最悪、真東や、真西に歩いても良いんだ」くらいの気持ちで歩いていると、何となく自分の方向性が漠然と、そして良い意味で「狭まって」きます。

冒頭の例でいえば、私が小説家になることを解放して「北」にしたのは、「文字に関連することでご飯を食べる」と言う事でした。「なぜ、小説家になりたいのか?」と突き詰めたときに「そもそも書くことが好きで苦にならないから」という本質にフォーカスできたからです。

その結果、私は編集者見習いの経験からキャリアをスタートし、Webディレクターになり、プロモーションを担当し、マーケティングの面白さを見出していく……と言うキャリア形成をすることになるのですが、これは結局、もともとの「文字で飯を食う」と言う漠然とした指針が、ある種収束していった事にほかなりません。

まあ、しかも結果的に小説家にはなっていませんが、マーケティングの専門家として「書店にならぶような書籍を出版する」ということは達成しているので、我ながら「よくがんばったなあ」とは思いますが(閑話休題)

さて、これを一眼レフの話に移すと、要は「最初は撮りたいものなんか、全部撮影に行けばいいんだ」くらいの話だと思っておりまして、だから、私の現在のインスタグラムのアカウントは脈絡がないくらい様々な写真が並んでいますし、このWebサイトのトップページも2024年1月現在の掲載状況では「まとまりもなにもあったものではありません」

本来、マーケティングを行うものとして「だれに、なにを、どう売るのか」などを考える訳ですから、「ターゲットの設定」と言うのは本来の基本思想となるはずですが、今回の本サイトの場合は「私の成長過程と洞察のプロセス」を明かすわけですから、むしろ現在地はこれでよかったりします。

つまるところ、このあたりの「被写体の変化」は、数か月~数年もすれば何かに「収束」を見せていくと思っており、それこそが「本当にやりたいことが見つかった瞬間」となるでしょう。マーケティング施策も1つの施策に傾倒するのではなく「いろいろやりながら、数値を見て収束させて勝ちパターンを形成していく」訳でして、結局道理は一緒です。

「まずは、広くスタンスを取る」と言う事は、遠回りに見えて、結局は「挫折しないで目標にたどり着く有効な手段の1つである」と言う事を理解しましょう。このスタンスで目的地に向かう事は「あっちを選んでいたらどうなっていたのだろうか?という迷い」もなくなるのですから。

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